赤羽くん邸訪問記:武田諭
米原駅のロータリーで赤羽くん夫婦と高石くんと落ち合った。
赤羽くんは去年の12月に埼玉県の坂戸市から岐阜県の大垣市に引っ越した。
なんでも、山の中の一軒家に住んでいるとの事なので
大学時代の同級生の高石くんとりゅうぼう(尾竹隆一郎)と新居に訪問させてもらいました。

なんだか、赤羽くんが大学の近くから坂戸に引っ越した時も、 同じメンツで同じ様に訪問した気がする。
あれは何年前の事だっただろうか。。。と、急に老けた気分になりながら、
赤羽くんの運転するニールヤングの流れる軽四で
垂井駅に一時間遅れで到着するりゅうぼうを迎えに移動。

途中、米原駅の近くの喫茶店で味噌カツを食べた。
よくある国道沿いの錆びれた昭和を感じさせるお店で、かなり不安を感じつつも入店。
でもお店を出る時には、逆にこの外見が好意的に見えてくるほど美味しい味噌カツが出てきた。
岐阜県は良い所だな。

垂木駅から現れたりゅうぼうを拾って赤羽くんの家に向かう。
ceroの新しいアルバムを最後まで聴き終わった頃、目的地に到着。
倉庫付きの赤い瓦の大きな日本家屋。
築年数は結構行っていそうだけど、綺麗に掃除されていていい感じ。
家の横がすぐ森になってて庭と繋がってる。隣接する家もなくて静かそう。
なんて言っても、大きいのがいい。

早速、二階の赤羽くんの制作スペースにお邪魔します。
家の二階の二部屋を繋げて大きな作業スペース。
精力的に制作をしている模様。壁や床には沢山の絵があった。


改めて思うけど、絵を描く人って変わってるよね。
だいたい、絵って何の役に立つのかよくわからない。
それなのに黙々とやってるんだもんね。
文化や時代によって役割は変わってるのだろけど。

とにかく人間は洞窟に住んでいたようなすごく昔から絵を描いてて、
21世紀でも未だにやっている。
洞窟・宮廷・野外・六畳間どこでどんな絵を描こうが、 手に色の付いた何かを持って画面に向かう人間の姿は ものすごく原始的な姿なのだろう。


岐阜県の山奥で赤羽くんは黙々と制作をしていた。
カラフルな色の絵が沢山。
赤羽くんの絵で自分が印象に残っているのは黒い絵。
大量の黒の絵具で描かれたキノコのおばけみたいな形をしたキャラクターの絵で、
六本木に昔あったマジカルアートルームと言うギャラリーの個展の頃の、
たぶんあれは大学4年生くらいの時。
ピクシーズを聞きながら水木しげるの漫画を読んでいるような気分になる絵だった。

黄色や青やピンク、カラフルな赤羽くんの絵は新鮮に感じる。
色だけでなくてモチーフの描き方や形も少し違って色々試行錯誤しているように感じた。
今はきっと新たな展開のために脳内のミキサーで色々な要素を調合しているのだろう。
新しい展開の前の段階を見えるのは貴重で結構面白い。

自分は赤羽くんの絵は絵具の付き方が独特で面白いと思っている。
マニアックで抽象的な話になってしまうけど、
絵具の付き方は描く人の体質を良く表しているように思う。
また、筆跡を追って見ると作り手が経験した時間を追体験できる気がして楽しい。
  

7月には長野の美術館で展覧会があるらしい。
どんな展覧会になるか楽しみ。
この日の夜はみんなで温泉に行った後、欲望の赴くまま買い込んだ飛騨牛を吐くほど食べた。
BGMはカーティス・メイフィールドからMCニガリへ、台所のテーブルで美味しいものを沢山食べてゆったりワイワイ楽しい夜だったなぁ。

おわり

write by: Satoshi Takeda:武田諭